佐藤彰啓『田舎暮らし虎の巻』

田舎暮らし虎の巻

田舎暮らし虎の巻

抜粋

P229 
なぜ農村に賃貸物件が少ないのか、それには次のような理由がある。
1知らない人には貸したくない
 見も知らぬ人に貸して、もし近所に迷惑をかけたら……」との心配から貸すことを躊躇する 農家の空き家を借りている人はいるか、それらは知合いであったり、何かの縁で、というのがほとんどである 空き家の所有者が、広く借家人を一般に募集することは少ない
2家賃が安く、採算が合わない
 農家の家貸は月2〜3万円というところが多い なにしろ、築後六十〜八十年、あるいけ百年以上もたった代物で、すきま風は入るし、台所や風呂、便所も修繕しだしたらきりかない 少し手を加えるだけで数十万円は軒く越す 一般の賃貸住宅は、使える状態で貸すことが条件になるが、安い家賃では、また、そのまま貸すしかない たとえ安い家賃ても、家主ともなれは借家人から、とやかく言われないともかぎらない。そんな面倒なことは、そろばんが合わない、ということになる
3一度貸すと、後が面倒である
 農家の貸家は、現状のまま貸とて、修繕するのは、借り手が自己費用で行なうという場合が多い しかし風呂釜一つ替えるにも、中途下端なお金ではない借家を出るときは、そのまま残置し、その費用を家主には請求しない契約になっていても、借り主が多額を要したとして費用請求が来るのではないか 一度貸すと、なかなか返してくれなくなるのでは? そんな面倒なことなら、貸さないほうがいい、となる

P232
農家の空き家の家賃が月額2万〜3万円合と安いのは、それがその地方の家賃相場だからというわけではない 賃貸住宅の市場が形成されていないのだから、家賃相場などはない
 空き家を賃すのは、「どうせ使っていないのだから、困っている人がいるのなら貸してあげよう」という、農村の助け合い精神からの行為であり、お金には換算しないボランティア精神ともいえる しだがってその家賃は、極めて低額となる

P341
農協の園芸センター、購買部・・・野菜のタネや苗、堆肥や有機肥料が安い。園芸店より安い。ほか、灯油やプロパンガス