中島正『農家が教える自給農業のはじめ方』


これを読んだ日はあまりに興奮してなかなか寝つくことができなかった。

■目次

第1章 新規就農のスタートをスムーズにする自然卵養鶏
1 養鶏は低コストで日銭が入り、鶏ふんも利用
2 自然卵養鶏とは
3 自然卵養鶏10の条件-飼育形態と経営姿勢
4 自然卵養鶏の実際
5 寒冷地や酷暑地での飼育の注意点
6 鶏卵販売について

第2章 荒地の復元と鶏ふんなどの有機質自給肥料の利用
1 荒地の復元はゆっくり、小力的に
2 自給自足農業における農具
3 有機質自給肥料の利用

第3章 イネ(陸稲)とムギ、野菜の自給栽培
1 イネ(陸稲)とムギの輪作-主食の自給栽培
2 野菜自給栽培の基礎-低コスト、小力栽培
3 自給野菜のつくり方

第4章 果樹や山菜、薬草の採取と利用-手のかからない自給食物
1 手ぬき放任栽培果樹の利用-土地に適合した果樹を植える
2 野山の恵み-山菜、薬草の採取と利用・薬用

第5章 自給に活かす中島流農産加工
1 柿酢のつくり方と利用
2 ラッキョウの焼酎漬け
3 ウメ干し
4 たくあん、カブ漬け
5 中島流副食料理法-単品・シンプル料理

第6章 提言-これから農業を始める方へ
1 市場原理にまどわされるな
2 一人五アールで実現する農ある暮らし

付録 田舎暮らしを始めるためのワンポイント
1 転居地の選択と住むための準備
2 転居したら何から始めるか

とくに「付録」「第6章」のテーマは新規就農をめざす人にとってどうしてもほしい一番肝心な情報だ。何冊も類書を読んで、やっと自分の知りたいことに言及した本を見つけることができた。就農をめざす人の多くが手にとる『農的暮らしのススメ』的な本には、これが見事なまでにない。逆に、「3章」「5章」のテーマにページを割きすぎた本が多い。この本にある「付録」「第6章」のテーマをふまえて初めて「1〜5章」のようなテーマが生きてくるわけだが、本末転倒だ。一番大事な個所が抜けている本が多すぎる。

『農的暮らしのススメ』的な本を読んでいらいらさせられるのは、こういうところに理由がある。