『おカネで世界を変える30の方法』

おカネで世界を変える30の方法

おカネで世界を変える30の方法

P43
地方のお金は銀行や郵便局を通して中央に集められ、ふたたび地方に配分されますが、その配分方法はごく一部の政治家、官僚、財界によって決められ、その決定に私たちの意思が反映されることはほとんどありません。自分の将来のために蓄えている貯蓄が、未来を壊す形で使われているのです。
この「お金の中央集権」を防ぐには、地域のお金がそのまま地域で回る仕組みが必要です。まず思いつくのが、地域銀行や信用金庫といったその地域にある金融機関ですが、最近は様子が変わってきています。大垣共立銀行を例にすると、西濃地方の人たちが地元の大垣共立銀行にお金柄を預けても、岐阜県内で使われるのは3分の1で、3分の2は県外や海外に流出してしまっているのです。

P44
北海道から愛知県まで9つのNPOバンクが設立され・・・

P48
労働金庫や信用金庫はNPOなどの市民活動への融資事業に力を入れ始めています。
NPOバンクへの出資や社会的責任投資への投資は、通常の銀行預金とは違って元本が保証されませんが、それでもNPOバンクや社会的責任投資を選択するのは、「ある程度のリスクがあるとしても、社会や環境に配慮した事業にお金を使ってほしい」と考える人が増えてきたことを意味しています。

P72
地域通貨を利用していた友人は、「地域通貨を使うのは屋根の板を張り替えるときとか、ひとりでやってるとむなしくなっちゃうときだね」と話していました。たしかにそんなとき、「前につきあってもらったから、今度は僕が」という形で利用するには便利な仕組みでした。しかしコミュニティが強いところでは、わざわざ地域通貨を使うこと自体がみずくさいし、逆に交際がほとんどない都会では、お金で払ってしまったほうが簡単です。こうして全国に数多く生まれた地域通貨は、一部の例を残して消えていきました。
この地域通貨が日本中に広がったのは、1999年にNHKで「エンデの遺言」という番組が放送されてからです。

P89フェアトレード コーヒーが作る貧困 「髪の見えざる手」はなぜ働かないか
途上国の貧しい生産者には、蓄えがなくほかの作物に転作する余裕もなく、転職するにも仕事がありません。

118P
大手サラ金は莫大な利益を得ているのですが、その資金を貸しているのは大手銀行であり、最近では大手銀行がサラ金を傘下に治め、サラ金業に乗り出しています。

P129
同じ時代に生きている客
将来の人たち
たとえ将来の人たちが不利益をこうむったとしても、生産者は自分が損するわけでないばかりでなく、まだ生まれていない将来の人から文句を言われることもありません。生産者は、たとえ将来の世代が損をするような方法で商品を作ろうとも、結果的に商品が売れ、現在の利益があがればそれでいいのです。
激しい価格競争の中で将来の世代のことまで考えている余裕はありません。

P136 マイケル・ムーア 『シッコ』
昔、中国であったとされるしくみ
まず人々がお金を集め、毎月の給与を医師に払って雇います。いわば保険料の負担と同じです。しかしそこからが違います。もしある家庭に病人が出たら、その家庭は保険料の負担を免除されます。それだけでなく、医師はその病人を治療しなければなりません。つまりもし医師が収入を維持しようと思うならば、病人を出さないように努力しなければならないのです。その結果、医師は家庭をまわり、予防的に生活指導をすることになるのです。An ounce of prevention is a pound of cure.医療費は常に治療よりも予防のほうが安く上がるため、保険料の負担は大きくなりません。今のように予防せず、病人を作り出してから検査と投薬を繰り返したならば、医療保険は経済的に破綻してしまいます。

P139
社会的責任投資の流れからは、自分のお金に意志をもたせることが必要です。漫然と貯金するのではなく、自分が温暖化を防止したいのなら省エネや自然エネルギーをすすめている企業の株を買う、いい施策を実行している自治体債を買う、良い政策を採用している国の通貨建てで国債を購入する、などさまざまな方法があります。そうした流れが強くなれば、貯金や投資がまるで投票のように、政策に反映さらえるようになるからです。
どんどん格差が広がっていく今の社会の中では、格差を縮めるために行政の持つ「所得の再配分機能」を強める必要があります。しかし現実にはその逆の方向に進んでいます。そうなると別の解決策は、お金に頼らない生活を実現できるような社会を作っていくことが必要になると思います。お金をいくら持っていても何も買えない社会があっていいと思うのです。

この本には、メガバンク郵貯の貯金が戦争資金になっていることや、公共事業に何故無駄遣いが多いか? 途上国援助が何故貧困を生みだすか?借金大国のアメリカが何故経済大国でいられるのか? などの国際問題から、 オール電化住宅は本当に環境によいのか? NPOバンクとは何か?なぜ働いても働いても楽にならないのか? 信用取引の何が問題なのか?マイクロクレジットとは? 企業の社会的責任は? 地域通貨とは?こうしたおカネにまつわる、ほとんどあらゆる話題が網羅されて、どのように解決していけばいいかの、ヒントを与えてくれています。

amazon jpより引用